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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第3章 3分の1でも選ぶとは限らない



 体育館上のギャラリー、朝からまぁ元気なことに下級生の女子がチラチラいる。特に害がなければ追い出したりはしないけどああいう人達は基本双子を見に来てて、男子の場合は大抵双子が喧嘩するかしないか賭け事をしてる場合が多い。
 心配事の九割は起こらないなんて、水田さんには関係ないし意味がない。だってその一割をことごとく引き当てて、挙句の果てには双子に殴られてる。ある意味強運過ぎる。
 
(って、俺も人のこと言えないか......)

 どっちかと言うと、俺もなんだかんだその一割を引いている身だ。

「どっちにしろ今じゃない方がいいかもね」
「だよね、私もそう思う」

 気配を消しながら、こじんまりとした小声で言う。パタパタと広げたフェイスタオルを畳み胸元へ抱えるとはぁ、と大きなため息を付いた。

「渡しとこうか?」

 少し考えて、水田さんが渋々口にした。

「.....................いや、やっぱりいい。私じゃなくて、弟からだから直接渡すよ」

 水田さんにしては珍しく「ありがとね」と素直にお礼を言われ、そのまま背を向けて足早にその場を去って行く。背中を見届けて、俺はゆっくりと双子の方を振り返ると、いつも通り日常茶飯事の水掛け論で騒ぎ合っていた。

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