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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい





 授業が終わり、班ごとの清掃から帰ってくるとみんなの机にはそれぞれ一枚のリーフレットが置かれていた。

 タイトルには大きく〝「よさこい祭り」〟と掲げられている。
 ここの地域では一年に一回の夏祭りでもあり、町おこしの一大イベントとなっており、隣町や遠くから足を運んでくる人達も多い。
 なんせ、その地域に所属している稲荷崎高校も広くボランティアや出店を行っており、このよさこい祭りは稲荷崎高校にとってひとつの行事でもある。

「……めんどいな」

 角名くんが椅子を引きながらボソッと呟いた。
 それもそのはず、毎年よさこい祭は二年生が中心となって企画を行う。
 校内でのボランティアの募集、各クラスでの出店や祭りを盛り上げる為の企画をお偉いさんと一緒に行う為、二年生は余程の事情がない限り強制参加になっている。つまり財政と権力の言いなりということだ。
 去年私達が一年生だった時は、担任が勝手にボランティアへ一組を参加させゴミ拾いだった。が、私はこの時とある事情があり参加はしていなかった。
 角名くんを横目に自分のテーブルに置いてあったよさこい祭のリーフレットに、私は目もくれないまま折りたたみブレザーのポケットへしまう。
 椅子に座り、引き出しの教科書を全て取り出して帰り支度を始めると前の席の角名くんが振り返った。

「去年いなかったけど仮病?」
「皆勤ですけど」
「え、休んだのに?」
「ちゃんと正当な理由があるからねぇ」

 心の中でため息をついて肩を押し返すと、角名くんは「ふぅん」と口を尖らせ納得のいっていない様子だったが大人しく前を向いた。
 若干、角名くんにはもう諦めさえ抱いてる。
 もう今後大事にならなければあとはどうだっていい。何でもない日常すらも苦痛に変える対人関係がいかに負担であるかが理解できた。


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