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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第1章 喧嘩止めたら殴られた。





 六時限目の授業が終わり、とうとう恐れていた放課後が来てしまった。
 まだ教室には部活に行く人達やおしゃべりをしている人達で溢れている。そんな中、約一年間守り抜いてきた目標をぶっ壊されようともひっそり紛れ込んでいるのがここに一人。
 嗚呼、帰りたい。バイト行きたい。もうこっそり帰っていいかなホントに。そう思い私はカバンを持ってこっそり後ろのドアから脱出を試みる。

「どこ行くの?」

 もちろん案の定グルの角名くんに止められましたよ。しかも狙っていたかのようにドアの前で。角名くんって空気読めないのかな? 嗚呼、読めてるから今目の前にいるのか。

「えっと、トイレに…」
「カバン、必要?」
「…」
「…待って、腕掴むのやめて折れる」
「はあ? 何言ってんの折れるけどまだ折らないよ」
「尚更離して」
「治、愛さんもう行くって~!!」
「ちょっとっ!!」

 突然声を大にして言う角名くんに私は慌てて腕を伸ばし口を塞いだ。今、喋りたくない人ランキング一位の治くん抜いて一位になったよ。おめでとう。
 角名くんは掴んでいた腕を離し、代わりに口を塞いでいた手首を掴むとそのまま引きはがした。無駄に見下ろされて全く反省の色が伺えない。こいつはかなりの常習犯だ。

「そう? ほな行こか。」
「あ、うん…」

 治くんがカバンを背負い、言い争っていた私と角名くんの間を通って教室を出ると私は仕方なくその後を追い、クラスのニヤニヤとした視線を浴びながら教室の廊下を通り階段を上がる。その間に、会話は一切ない。その間にすれ違う人達の視線が痛い。
 それもそうだ、あんな勘違いされたら気まずくもなるし、ならないわけがない。複雑な気持ちではあるけど、治くんの性格からしてそんなことをするような人ではないことは分かっている。いつも一緒にいる周りの友達とかの影響で結構偏見持たれるけど、治くんは常識人だ。 

「あのさ」
「うん?」
「なんで角名ついて来とるん?」
「わ、私もよくわかんない…」

奇行を繰り返す角名くんと違ってね。


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