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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第1章 喧嘩止めたら殴られた。





 最終的に呆れた声でそう言うと私の手からプリントが消えたかと思えば角名くんが振り返り椅子を傾けて寄って来ると持っていた私の分のプリントを机に置くとその上から自分の腕を置いた。今すぐ机を引いて彼をぶっ倒したいところだがそんな注目を集めるような仕打ちもちろん私が出来るはずもない。

「じゃあ、俺の質問に答えてくれる?」
「…いやだ」
「それさ、本当に喧嘩止めたら殴られたの?」

 私に軽く指を差しながら角名くんはそう言った。彼に話が通じないのは知っていた。もう悪意すらも何も感じないほどに。
 今朝の騒動に加え昨日の出来事までも何の躊躇もなくほじくられ、ピキッと頭が痛いほど鳴る。
 昨日の放課後、先輩達二人と治くんと侑くんと私しかいなかったにも関わらずなぜ角名くんが知っているんだという疑問が真っ先に浮かんでくるが、そういえば三人はグルバレー部だったことを私はすっかり忘れていた。昨日二人に口止めをしておくんだった。と、ことは治まったはずなのに降り積もる後悔は消えぬまま募るばかりだ。

「殴られたというか、思いっきり当たっただけ。はい、前向いて」

 授業中だったこともあってか、手早く済ませる為に私はすぐに角名くんの問いかけに返答すると軽く肩を押し前を向くように催促した。
 クラスで喋りたくない人ランキング、第二位の角名倫太郎くん。どっちかって言うと喋りたくないというより関わりたくないと言った方が正しい。


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