第7章 興味本位
「さくらさん、元気…出して下さい」
メランサがよしよしと私の頭を撫でる。
ベッドに顔を伏せて既に小一時間。ドーベルマンさんに戦力外通告を受けて倒れている私を、仲の良い3人はずっと見守ってくれている。
「さくらは実力もある。力をコントロールできるようになったらまた考えてくれるかもしれない」
「そうですよ。さあ起きて」
「うっ…」
体が浮いた。どうやらアドナキエルが私の体を鷲掴んで起こしたようだ。
まるでクレーンゲームのアームに取られてしまったぬいぐるみのような気分で癪に障る。
「ちょっと…アドナキエルさん。乱暴ですよ」
「ううう…」
「あぁさくらの顔が酷いことに…」
スチュワードが私の顔を自分の袖で拭う。彼らに抵抗はないのだろうか。
「泣かないでください」
「だってこれじゃあ役に立てない…」
そう言った瞬間、3人はばっと顔を見合わせ始めた。
その光景に不安感を覚えた私は、3人の顔を順々に見つめる
「何?…変な事、言っ、わぁあ!?」
その光景がおかしくて、首を傾げると不意にメランサが懐に潜り込んで抱き付いて来た。良い匂いが鼻を擽る。
その行動に赤面していると、両隣に2人が座って肩に手を乗せて来た。
「さくらは誰よりも役に立っているよ」
「そうですよ。自信持ってください」
「アドナキエルの、羽より軽い言葉は兎も角、スチュワードの言葉は素直に嬉しい…」
「えっ」「事実だしね」
えー…というアドナキエルが残念そうに口をへの字に変える姿を見る。
と、同じくその姿を見ていた懐にいるメランサも微笑み、スチュワードも無邪気な声を出して笑った。
つられた私も噴き出して、笑いながら言った。
「嘘だよっ。嬉しいよ、天使様」
「!」
「うっ…何だイケメン嬉しそうな顔しやがって…」
「嬉しいですよ」
彼にメランサやスチュワードのような尻尾があれば、間違いなく左右に激しく振られていることだろう。
何がそんなに嬉しいのかはわからなかった。