第5章 鍛錬開始
採血から1週間。大分寝不足もストレスによる嘔吐も無くなって来た頃だった。
私はドクターにとあるお願いをした。その時の彼の表情は相変わらずフードに隠れてわからなかったが、声色から察するに驚いていたんだと思う。
そのお願いをしてからは早かった。
今、それが行われている。自然と手に力が入り、拳の中では冷や汗がにじみ出ていた。
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『ドクター、私は…ロドスの役に立ちたいです。なので、一番役に立つのはやっぱり戦闘に参加することだなって思ったんです』
『…さくら、君は特別前線に出なくてもいいんだぞ?何より、君の体が私は心配だ』
『このまま貴方たちの脛を齧っているわけにはいきませんから』
『…気にしなくてもいいのに』
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ドクターは何故か申し訳なさそうにそう言ったが、私は私の居場所を確保するために、実力をつけてこの世界に見せつけなければならない。
働かざる者食うべからず、だ。