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【HQ】月島蛍の夢

第2章 いつもと違う世界


「!!!!」

「月島くん!!まだ起き上がっちゃダメよ!」
「蛍!!」

(夢から覚めた…)

自分に起きた出来事をまだ呑み込めないが、
今はただ、息を切らしている自分がここにいた。
何度も繰り返すように、状況を整理しようとする目。そして、それに足りないもの。

「……眼鏡!」

切羽詰まったように僕が言うと、眼鏡を差し出してきたのは僕の兄・月島明光だった。
こっちに戻ってきていたことに少し驚いてから、
渡された眼鏡をかけて周りを見渡す。

また景色が変わっている。

今度は何処だ?

「蛍…ここは病院だよ。保健室で、また眠ったの、覚えてるか?」
「……っ……ぼんやりとしか……僕は……」

頭を抱えていると、母が事情の説明を始めた。

「朝は、ただの寝坊だと思っていたの。だからそのまま送り出した訳だけど…今日の学校での蛍は、様子がおかしかったって……」

そこまで言って母は口を閉ざした。
そんな母を見て、兄の明光が代わりに口を開く。

「保健室で、2回も倒れた。これはさすがに異常じゃないかって、突然救急車で運ばれたんだ。」

見ると、自分がいま身に纏っていたのは、
着ていた学生服ではなく、患者衣だった。

「……。ごめん。まだ頭がはっきりしてなくて」
「いいのよ…」
「……あ、部活……」
「部活なら、忠が皆に『今日は休む』って伝えてくれたみたいだ。…良かったな…蛍」
「…山口、が……」

ああ、あいつの優しさが染みて、イヤだな。

「とにかく、安静にな?まだ医者の診察結果は出てないし、いつまでになるかは分からないけど……数日検査入院ってことになった。」
「検査入院……?」
いまいち現実味のない言葉が、
頭の中を行ったり来たり。
もしかして、いまもまだ夢を見ている?

いつもと違う、かさかさした白いシーツの心地が不快で。

嵐のような一日に、僕の頭は付いていけずにいた。

『 愛衣 』

「…あの子の名前は、愛衣 ……」

窓の外を見ると、すっかり暗くなっている。

落ち着く暇もないないまま、僕はゆっくりと眠りについた。
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