• テキストサイズ

銀色の【銀魂長編夢】

第9章 満月の夜


「危ねえっ!」

慌てた土方は遼を引っ張り腕の中に収める。

「お前、弱すぎだぞ」
「ううっ…何かすごい体がアツイ」

体を纏う寝間着がうっとうしく感じるほどに火照る体に、遼は渋面を作る。

「あつ…」
「はぁ…ちょっと待ってろ。水持って来てやる」

勧めた手前悪気があるのか、土方が水を取りに立ち上がろうとすると、着物の袖をくいと引かれた。

「行か、ないで」

荒い息のもと涙目で訴えられて、土方は動きを止めた。

(何だこの状況は?!)

ポーカーフェイスを気取っているが、心臓が飛び出しそうなほど動揺している土方は、完全に硬直する。

「行かないで………晋ちゃん」
「え?」

かすれた声で遼が呼んだ名前に、土方はぴくりと震えた。

「私も一緒に連れて行って…」
「オイ。神武…」

ぎゅうっと土方の着物の袖を掴み、母を乞う幼子のように見上げてくる遼に、土方は言葉を失う。
どうすべきかと考えていると、遼の目が据わり、眉間に皺を寄せて睨みつけるように土方を見上げてきた。

「ん?土方さん?
こんな所で何やってるんです?」
「は?」

予想もしていなかった問いに、土方は唖然として遼の顔をまじまじと見る。

「土方さんれすよね?」
「神武、お前…完全に酔ってるな」
「酔ってませんよ~あはは、土方さん可愛い~」

にこにこと楽しそうに笑いながら、遼は土方の頭をぐりぐりと撫でまわした。

「あ、土方さんって意外と髪の毛ふわふわ~にゃんこみたい」

遼は「可愛い」を連呼しながら土方の頭を抱きしめる。
自然、土方は顔を遼の胸の谷間に埋める形になり、薄い寝間着では体温や感触が直に伝わった。

「神武っ」
「ふあっ、土方さんそこれ喋ったら擽ったいれすよぉ~」

遼はけらけらと笑いながら身をよじらせ、土方をぎゅうと胸に押し付ける。

「んーっ、土方さん可愛い~」
(こっ…こいつ酔うとこうなんのか…クソッ、二度と飲まさねぇ)

土方がひっそりと心に決めている間も、遼は土方をかいぐりまわす。

「いい子いい子。おりこうさんですね~」
「お前っ、なぁ…」

何とか土方は遼の束縛から逃れ、肩を掴んで引き離した。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp