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銀色の【銀魂長編夢】

第8章 紅の桜のあとに


呆れたような言い方に、遼は「まだ正式入隊してないからね」と苦笑する。

「で、お前はどうするつもりなんだ?」
「晋ちゃんやヅラには迷惑かけないようにする」
「そうじゃねぇよ。何のために、真選組に入ったんだ?」
「本当のことを知るためだよ」

迷い無く答えた遼の頭を撫でて、高杉は「そうか」と低く呟いた。

「ねえ、晋ちゃん。事実が真実より辛いものだったら、知らない方がいいと思う?」
「どうだろうな。知って何かが変わるなら、それもいいかもしれないな」
「そうだね」

高杉の横顔を盗み見ながら、遼は恐らく自分だけが知っているであろう事実に思いを馳せる。
それは希望であり、絶望だ。
それを知った時、遼は散々悩んで一時それを忘れる事に決めた。
吉田松陽の、死について。
高杉達には申し訳なく思うが、伝えることで変わることを拒否した。

「晋ちゃん、もし真選組が立ちはだかったらどうする?」
「決まってるだろ。ぶっ壊してやるよ」
「ふふっ。じゃあ、次に会うときは敵同士だね」

ニコリと笑った遼に、高杉もつられて笑う。

「そろそろ時間だな」
「もうちょっと、一緒に居たかったな」
「真選組を辞めてここにくるか?」
「クビになったら考えさせて」

どこまで本気かわからない答えに、高杉は煙管の煙を細く吐く。
ふわりと香るその匂いに、遼は目を閉じた。
一日でも長く、覚えていられるように。
暫くして現れた河上に促され、遼は艦を降りるべく移動する。
別れ際、高杉に「またね」と言って手を振ると、隣に立つ河上が堪らず吹き出した。
首を傾げる遼に、高杉は少し悩んで「またな」と答える。













これが今生の別れとなるのか、再び縁を結ぶ事になるのか、今の遼には分からなかったが、高杉との再会は、また一つ、新たな未来を作ることになった。
真選組に戻った遼は、「宇宙海賊春雨」と書かれた資料を捲りながら、真実へと近付いていく。







──おわり──
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