第6章 部屋と隊服と私
翌日から遼は真選組屯所に引っ越し、土方の部屋に間借りするようになる。
土方は最後まで嫌がっていたが、荷物片手に現れた遼を案内してきた沖田に「やっぱり自信がねぇのか」と煽られ、売り言葉に買い言葉で「やってやるよ」と返してしまった。
沖田とハイタッチして喜ぶ遼に、はめられた事に気付いた土方がキレて暫く大変だったのだが、日々に忙殺され状況に慣れてしまう。
そしてその頃、遼の隊服が屯所に届いた。
「遼ちゃん、早速着ておいで」
「ちゃあんと着てこいよ」
やけにニヤつく総悟に首を傾げながら部屋に戻り中身を広げた遼は凍りつく。
「え?
嘘でしょ」
上着は見慣れた隊士服だが、下は何故かスカートだ。
それも、超が付く程のタイトミニ。
御丁寧に深めのスリットが入っている。
「流石にこれは……」
念の為足を通してみるが、思った以上に短く、しゃがむと下着が見えそうだ。
姿見で全身を確認するが、どう考えてもそういうお店の衣装にしか見えない。
そこでやっと、先程の沖田の表情の意味を理解した。
あの時呉服屋に同行していた沖田は、店主にこれを依頼していたのだ。
「とっ、とりあえず、局長に確認してもらわないと」
出来るだけ小股で歩き、局長室に向かう。
幸い誰にも会わなかったが、入室を躊躇った遼は、障子から顔だけ出して「着れました」と報告した。
「入っておいで、遼ちゃん」
「えーっと、あの」
もじもじとする遼に、近藤は「そんなに照れなくても大丈夫だよ」と促すが、遼は引き攣ったような顔で笑う。
理由がわかっている沖田は、すっと立ち上がり勢いよく障子を開けた。
「ぎゃぁァァァァ!」
「ほら早く」
沖田思わず悲鳴を上げた遼の腕を掴み、近藤の前に引き摺り出す。
「え、ちょっ、えぇぇっ!?何でそんなプレイ衣装みたいになってんのォォ?!!」
「近藤さん、これでガッポリ稼げそうじゃねぇですか」
「どこの女衒のセリフですか!」
スカートの裾を押さえながら訴える遼を、沖田は上から下まで眺めた後「水色か」と、呟いた。
「は?水色??」
「パンツの色」
そう言って沖田が指差したのは、スリットから僅かに覗く淡い水色のレース。