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銀色の【銀魂長編夢】

第4章 依頼


照れくさそうに笑う遼に、銀時は必死で記憶を辿るが、うまく思い出せない。
背格好は多少似ていたかもしれないが、銀時の記憶と一致する程ではなかった。

「見た目はそんなにだけど、笑った雰囲気とか、お妙さんとのやり取りとか見てると、何か似てるなって。父さまも、母さまを追いかけてよく踏まれてたでしょ」
「ああ、そう言えば」
「だから何となく、局長さんは信頼できる気がするの」
「なんつーいい加減な……」

呆れる銀時に、遼は「そんなものだよ」と笑う。
二人の会話を黙って聞いていた神楽は、ふと疑問を口にした。

「銀ちゃんと遼って、いつから知り合いアル?」
「いつだっけ?」
「俺が覚えてるのは、遼が二つか三つ位の時に父親について薬を届けに来た時だな」
「遼のパピーはお薬屋さんだったアル?」
「ううん。簡単な治療とかはしてたけど、本業は配達屋さんだよ。ね、銀ちゃん」

念押しするように名前を呼ばれ、銀時は「そうだな」とだけ返事をする。
遼の父親は確かに戦地を渡り歩いて薬を届けていたが、それは本業とは言えなかった。

(まあ、おいそれと喋れる内容でもねぇしな)

話せば銀時の過去も詳らかにしなければならない。

「じゃあ、銀ちゃんとは十五年も前から知り合いだったアルな」
「そうだね。実際一緒に居たのは正味三年くらいだったけど、本当に楽しかったよ」

改めて言葉にすると、僅かな時間だったと銀時は思いを馳せた。
あれから十年。
月日が経つのは早いものだ。

「昔の話はもういいだろ。先ずは明日だ明日」
「そうだね。神楽ちゃん、晩御飯何が食べたい?」
「ふりかけご飯がいいアル!」
「じゃあ、ふりかけご飯と生姜焼きでもしようか」
「肉買う金なんてねぇぞ」
「それ位払うよ。私も明日に備えなきゃだし。神楽ちゃん、お肉が買えるお店に案内してくれる?」
「大江戸スーパーが安くていっぱい入ってるネ!」

神楽に手を引かれて歩いて行く遼の背中を見ながら、銀時は改めて浮かんだ疑問に蓋をする。

「今はまだ、聞かなくてもいいか」

銀時がこの時の判断を後悔するのは、まだ少し先の話。
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