第5章 フットサル。
『本当に良いのか?俺よりもつくしの方が』
「つくしは用事があって来れないらしいし、それにフットサルなら時間も短いだろ。つばきでも少しくらいできるかと思って。あっ、でも途中できつかったら交代出来るから言えよ!」
風間が笑いながら、肩をぽんっと叩く。
俺はその気遣いが嬉しくて、おう!っと笑い返した。
「今日のチームメイトの栄二さんたちだ。栄二さん、話してたつばきです」
『よろしくお願いします。俺、ちょっと体力がないんで途中までしか出来ないかもしれないけど、頑張ります!』
「風間くんから聞いてるよ。無理せず楽しくやろう!」
社会人チームと聞いてたし、見た目怖そうだけど、すごく良い人たちみたいだ。
相手チームも優しい人たちで、普段は前後半で20分ずつなのを、前後半で10分ずつの特別ルールにしてもらう事になった。
『やばい、みんなすごく優しい。風間ありがとう!俺、すっごく楽しいよ!』
「それは良かった。後半もやるか?」
『もちろん!絶対勝とうな!』
初めてやったフットサルは、みんながキラキラ輝いて見えて、俺もその一員になれていることが、とても嬉しかった。
これはつくしの気持ちがよく分かる。
こんな経験したら、どんなにきつくてもやりたくなるよな。
それが出来るつくしが羨ましい。
「すごいな、つばきくん!結局フルで出て点まで取るなんて!」
『みなさんのおかげですよ!今日はすごく楽しかったです。ありがとうございました!』
「どういたしまして。また一緒にやろう!」
サッカーに出会ってから、良いことがたくさんあるなぁ。
つくしがあんなに楽しそうにしてる姿が見れて、風間やサッカー部のみんなと仲間になれて。
俺もフットサルが出来た。
短かった分もう1試合始めた風間や栄二さんたちを見て、俺はやりたい事が見つかった。
いつか、少しだけでも聖蹟サッカー部のみんなと一緒にサッカーが、そして試合がしたい、そう思ったんだ。