第3章 つくしとつばき。
「お前らって、どっちかっていうと真逆な方なのに仲良いよな」
『「えっ?」』
来須の発言に、俺とつくしは同時に反応した。
「ははっ!対照的なくせに息はぴったりだな!」
「あー、えーと。僕とつばきくんは幼馴染で、だからかな?」
『そうそう!さゆ姉と3人で兄弟みたいに育ってきたからだと思うぜ』
つくしは昔から可愛かったなーと話す俺に、つくしは恥ずかしいよーと顔を赤くする。
「そういえば、柄本が名前で呼ぶの幼馴染の橘先輩と橘だけだな」
「うん、2人とも橘だから、ややこしくて。だから名前で呼んでって事になって」
『名前で呼ぶ前なんて、橘ちゃんに橘くんだぜ?それにたまにさゆ姉と俺を間違えて橘ちゃんって呼ぶし。小さい頃は俺も可愛かったからな!』
「可愛いって自分で言うかよ!まあ、確かに可愛いよりの顔立ちだよなー」
『…来須、まさかお前』
「だ、だめだよ、来須くん!つばきくんは男の子だから!」
「だー!わかってるわ!そんなこと!橘が変な風に言うから!」
「ほっ」
「ほっ、じゃねー!柄本のくせに生意気だー!」
また始まった。あれはもう、つくしと来須の漫才だな。
天然のつくしに来須はツッコミ体質だから、ツッコミたくなるんだろうな。
『昔に比べたらずいぶんと明るくなったな。良かったな、つくし』
仲間も増えて楽しげに笑い、自分にも少し自信がついてきたように見える。
俺だけじゃあんなに元気にできなかったな。
「またやってる。飽きないね、あいつらも」
『風間のおかげだね』
「えっ?俺のせい?」
『そうだ!お前のせいだ!つくしがあんなに元気に笑う相手を増やしたのは。…感謝してるんだよ』
俺は風間にむかって、にしっ!と笑う。
風間は一瞬驚いて固まったが、すぐに照れくさそうにして、俺の方こそ感謝してるよと呟いた。
「つくしのおかげで居場所を見つけたんだ。もちろん、つばきにも会えたしな」
『つくし様々だな!』
来須に捕まり、プロレス技をかけられているつくしを見ながら、俺と風間は笑い合う。
「さて、休憩もそろそろ終わるし。行くか」
『そうだな。おーい!来須ー、そろそろやめてあげてくれー』
いまだに来須の技を受けているつくしを助け、俺たちはまた練習へと戻っていった。