第4章 海の王妃
「それはいいですね。では私が神父をやりましょう」
「じゃあ僕はブーケ作るね」
「はい、主役は座ってて。ケルベロスの背中で悪いけど」
「じゃあ僕はー、えーっと、2人が通る道を作っとくね!」
急に慌ただしくなるゼウスの宮殿。ただゼウスはぼーっとそれを見ている。
「くるぁ、ゼウス!何ぼーっとしてやがりますか!働け、このクズ!」
「女神の言い草とは思えないなー。ていうか俺、場所提供したし!ちゃんとやったし!」
「それはそうとあの指輪は何なんですか?」
「あれはね、はめた奴の願いを叶える指輪なの。あのポセイドンを守るって言うならそんな悪いこともしなさそうだし、あれがいいかなーって思ってさ」
「確かに奇特な方ですよね。彼女自身、人間界には未練などないようですし、ポセイドンも彼女を大切にしてるようですしね」
「どの道あいつの血を飲んだ時点で人間界には戻れないしね」
「そうですね。正直な方だということは分かりましたし」
「だな」
そこへ怒った顔のハデスがやって来た。
「みんなが頑張ってるってのに、2人でなにやってんの…!もうそろそろ始めるよ」
「ああ、申し訳ございません。今行きます。ほら、ゼウスも早く」
「もー。めんどくさーい」
「早く来いよ、クソが!!」
急きょ設えられた祭壇ではすでにポセイドンと○○が待っていた。
「お待たせしました。では面倒なので手短かに。2人は永遠に愛し合うことを誓いますか?」
「「誓います」」
「よろしい。ではポセイドンから彼女に指輪をはめて下さい」
互いに向き合い○○の小さな手を取ると、ヴィーナスが預かっていた指輪を受け取り○○の指にはめる。不思議なことに指輪は○○にぴったりのサイズになった。
「ふーん。やっぱりあんた、ただ者じゃないね。それさ、一応持ち主選ぶんだよね」
「あー…。そうだったね。悪いこと考えてる奴なら電撃食らわすんだっけ」
「そうそう」
「あなたなら安心してポセイドンを任せられます」
「あははー。おめで盗塁王!」
「そいつに泣かされたら、いつでも言って。ケルベロスに食わすから」
「ええっ?!」
○○はプッと吹き出し、笑った。
「あはははは!神様ってもっと偉そうにしてるもんだと思ってたけど、結構面白いのね。それにみんな仲良し」