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帰るべき場所

第20章 仇討ち


 ある時デイダラとサソリに再び会う機会がやってきた。
 事前に連絡を取っていたようで、任務に関する用件でこちらのアジトに立ち寄ったらしい。人柱力である我愛羅の情報を集めており、実際に目にしたことのあるシズクの意見を聞きたいとのことだった。

「おや、珍しい姿ですね…」
「今ヒルコはバラし中なんでね。この姿でも問題ねえだろ」

 鬼鮫と話している目の前の彼は、以前見た異形の者ではなく綺麗な顔立ちの若者の姿であることにシズクは驚いた。
 これが……サソリ…?あたしが以前見たのは…あれは傀儡だったっていうの…?

「…何だ小娘、オレに用か?」

 余りに見つめ過ぎて気に障ったらしい、サソリにそう尋ねられる。

「…聞きたい事があります」

 いっそのこと今ここで全部問い詰めたい。こんな千載一遇のチャンス滅多にない。事実を確かめる事は重要なはずだ。
 そんな思いから、ついそう返答してしまった。冷静さを保ちつつ切り出したつもりだが、すぐにイタチが反応した。

「シズク…お前の用事よりも先に仕事をしろ…」
「そうだ、ムラっ気起こすなよ?お前の死期が早まるだけだからな…」

 サソリもそれに同意するあたり、何を尋ねられるのか薄々解っている様子だ。というより、こちらの敵意を感じ取っているのだろう。
 イタチが口を挟んできたのは、シズクがサソリを疑っている様子に気付いたからに違いない。



 イタチからは、昔から何度か里に関して忠告を受けている。

「お前の里について余計な詮索はするな。お前は俺の言う通りに動く存在。俺が与える任務をこなしていけば良い」

 彼はシズクに里の事件を忘れさせようとしていた。妙な気を起こさせないようにする為に。
 彼の思いに添って、忘れるように努力してきたつもりだった。でも結局そんなこと永遠に出来ないのかもしれない。

「でも…じゃあ何の為に生かされたんでしょう」

 自分の中にある疑問を素直に吐露すると、イタチはシズクと向き合い話を続けた。

「両親が助けてくれたと言ったな」

 そして、真剣な表情で彼なりの答えをくれた。


















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