• テキストサイズ

帰るべき場所

第2章 修業の森


「初めに言っとく事が二つ」

 いよいよ班別の活動が開始となる。担当上忍の指導のもと、まずは基礎演習を行う予定となっていた。その演習を始める前に突然セツナが告げてくる。

「このチームはただの下忍のチームじゃあない。次にシズク、オレはお前に惚れた!」
「どっちも唐突過ぎて意味が分かりません」
「どっちも言葉通りだ。素直に受け止めてくれ」

 言うなり彼はシズクの手を取って唇を落とした。

「ちょっ…放して!」
「照れなくていーぜシズク」

 セツナはチームのムードメーカー的存在だとシズクは認識している。彼自身はそんなつもりはなく、クールな二枚目路線でいきたいようだ。黙っていればカッコいいかもしれない。

「まあまあ二人とも」

 騒ぐ二人をなだめようと、班のリーダーであるヒタキが割って入る。
 彼は冷静沈着で頭が良く視野も広い、チームの司令塔に持ってこいの人物だ。

「シズクちゃんもそのうち慣れるさ、こいつに」
「あたしとしては、一個目のほうが気になります」
「それは…」

 ヒタキは心を読み取らせない表情で遠くを見やった。

「…今に解る」



 班の活動が終わり、食料調達に寄った店の前でシズクはサスケと出くわした。

「あっ…」

 昨日ぶつかっちゃった人だ…
 怒られた記憶が甦りびくっとしてしまう。

「あ、あの…昨日はごめんなさい」
「…ああ」

 気まずいながらも切り出すと、彼はこちらを見てすぐに思い出してくれたらしく、短く返事をした。その顔はちらとも笑わず前回同様にぶすっとしている。
 やっぱり無愛想だな…
 初めて会った時から思った印象は外れてはいないようだった。しかし少し間をおいた後、意外にも向こうから質問を投げ掛けてくる。

「…お前昨日、道場で修業してただろ?」
「え、うん…」
「施設には色々決まりがある」

 見られていたことにも驚いたが、遠回しに否定的な言い方をされ気落ちした。
 そうだよね、無断でいつも使う訳にはいかない。

「ごめんなさい、まだよく解ってなくて…」













/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp