第2章 修業の森
「初めに言っとく事が二つ」
いよいよ班別の活動が開始となる。担当上忍の指導のもと、まずは基礎演習を行う予定となっていた。その演習を始める前に突然セツナが告げてくる。
「このチームはただの下忍のチームじゃあない。次にシズク、オレはお前に惚れた!」
「どっちも唐突過ぎて意味が分かりません」
「どっちも言葉通りだ。素直に受け止めてくれ」
言うなり彼はシズクの手を取って唇を落とした。
「ちょっ…放して!」
「照れなくていーぜシズク」
セツナはチームのムードメーカー的存在だとシズクは認識している。彼自身はそんなつもりはなく、クールな二枚目路線でいきたいようだ。黙っていればカッコいいかもしれない。
「まあまあ二人とも」
騒ぐ二人をなだめようと、班のリーダーであるヒタキが割って入る。
彼は冷静沈着で頭が良く視野も広い、チームの司令塔に持ってこいの人物だ。
「シズクちゃんもそのうち慣れるさ、こいつに」
「あたしとしては、一個目のほうが気になります」
「それは…」
ヒタキは心を読み取らせない表情で遠くを見やった。
「…今に解る」
班の活動が終わり、食料調達に寄った店の前でシズクはサスケと出くわした。
「あっ…」
昨日ぶつかっちゃった人だ…
怒られた記憶が甦りびくっとしてしまう。
「あ、あの…昨日はごめんなさい」
「…ああ」
気まずいながらも切り出すと、彼はこちらを見てすぐに思い出してくれたらしく、短く返事をした。その顔はちらとも笑わず前回同様にぶすっとしている。
やっぱり無愛想だな…
初めて会った時から思った印象は外れてはいないようだった。しかし少し間をおいた後、意外にも向こうから質問を投げ掛けてくる。
「…お前昨日、道場で修業してただろ?」
「え、うん…」
「施設には色々決まりがある」
見られていたことにも驚いたが、遠回しに否定的な言い方をされ気落ちした。
そうだよね、無断でいつも使う訳にはいかない。
「ごめんなさい、まだよく解ってなくて…」