第14章 疑惑
「…シズク!!」
木ノ葉の里の自分の家へと歩いていたシズクは、家の前でこちらを呼ぶセツナとヒタキを発見した。どうやら行方不明の自分を心配して帰りを待ってくれていたようだ。もう夜も更けて辺りは暗く糸のような雨が降っていた。
イタチに呼び出され向かった先の隠れ家でシズクはいつしか眠ってしまっていた。目覚めるとイタチの黒いコートが背中に掛けられていたが、そのイタチ本人はいなかった。代わりに鬼鮫が私用から戻っていて、彼に途中まで送ってもらいシズクはようやく里に帰って来たのだ。
「どこ行ってたんだ!探し回ったんだぜ!?」
「ごめんなさい、試験会場を出たら音忍に追われて……落ち着くまで安全な所に隠れてたの」
セツナに肩を掴まれ、事前に考えてきた言い訳を並べるシズク。
「なんで会場を出たんだよ!?」
「……サスケが我愛羅を追っていったから…気になって」
「一人で勝手なことすんな!無事で…良かった…!」
ずっと雨に打たれていたのだろう、冷たい腕でセツナはシズクを抱きしめてきた。時折感情をこらえるように声を詰まらせる。
「ケガは…ないのか、大丈夫か?」
顔を覗き込んでくるセツナに頷きつつ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「とりあえずは無事で何よりだが…シズク、本当の事を言ってくれないか?」
同様にびしょ濡れのヒタキも近付いて来て静かに話し始めた。その表情はいつになく真剣で険しい。
「お前、スパイなんだろう?」
ヒタキの淡々と紡がれる言葉に、シズクは呼吸を忘れるほど驚く。
「…悪いが、シズクの行動は全て見張らせてもらってる。お前の行き先が度々不明なことがあってね……泳がせて様子を見ていた」
見張られていた…里外に出ていたのも筒抜けだったのか。