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帰るべき場所

第6章 忠告


 木ノ葉の里の空が赤く染まる夕刻、第七班は本日の任務を終え街の大通りに戻っていた。今日の反省や連絡が終わって解散後、一人森へ向かうサスケの前に先程別れたばかりのカカシが現れる。

「…よ。ちょっといい?」

 気軽な雰囲気で声を掛けてきた彼に、サスケはあからさまに嫌そうな顔をしてみせた。余計な小言を聞くのは面倒だし、早く一人で自由に動きたかった。

「何だよ、まだ何かあるのか」
「いや、お前さ…例の転入生と一緒に修業してんのかな?って思って」

 シズクの事を切り出され、眉を寄せる。思った通り小言を聞かされるらしい。

「してない。何故そんな事を聞くんだ」
「そんなに突っ掛かるなよ。いやね、あんまりあの子に近付かないほうがいいかな、と」
「……どういう意味だ」

 完全にカカシを睨み付けるサスケ。だが彼の反応を予想していたカカシは飄々と続ける。

「忍のカンってやつでね。あの子、ただ者じゃない気がするんだなあ」

 そして真剣な顔をしてみせると、その根拠を説明し始めた。

「彼女は戦災孤児として木ノ葉に拾われ、特別試験を受けて今期アカデミー卒業生と同じく下忍となった。宵の国、月隠れの里出身で向こうでは既に下忍だったようだ」

 木ノ葉が転入時に揃えた彼女の情報だろう。そこまでは大体知らされている。

「ある時里が何者かの襲撃を受け、親も、里の者も大人子供隔てなく虐殺されて、町も田畑も焼き払われた。辺りには塵しか残っていないそうだ…あの子の故郷はこの世から無くなってしまった」

 カカシの話に黙って耳を傾けていたサスケは、表情をやや曇らせる。それはこの間本人から聞いた内容だった。何度耳にしても胸糞悪い話だ。

「そんな絶望的な状況から立ち直り、一人新たな環境で生き抜く…決して悪いことじゃない。だが……強過ぎないか?戦争を起こしたのは忍だ。忍同士の争いを体験したにもかかわらず、尚もその忍を辞めずに鍛錬している。つまり…」













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