第5章 芽吹く想い
班別での任務は順調に進み低ランクの仕事を数回こなした頃、いつものように受付所に向かったシズク達は第七班を見かけた。任務に出るまでの短い自由時間にシズクはこっそりサスケを探す。
本当はナルト君の様子を伺わなきゃいけないのに…
この間彼の胸の内を聞いてから、サスケのことが気にかかっていた。
「サスケ」
彼はひとり皆から離れ、公園内の芝生の上に座り昼食を摂っていた。声を掛けられ少し驚いてこちらを向く。
「…よお。お前メシは?」
「これから先生達と食べに行くの。でもまだ時間あるから…座っていい?」
「…ああ」
青い芝生の上、隣に並んで座り込む。サスケは黙々とおにぎりを食べている。そんな彼が可愛く見えてシズクは思わず見入ってしまう。
「…何だよ」
その視線が落ち着かないのかサスケに無愛想に返される。
「何でもないよ……あっ」
見つめていたことを誤魔化そうと返事をしたが、途中でサスケの口元にご飯粒が付いているのを発見し、それを取ってあげようと手を伸ばした。
「ご飯粒ついてる」
サスケは食べかけのおにぎりを片手にしばし固まった。やや顔を赤らめているようだ。何だかこの間からの緊張がほぐれていく気がして、シズクは小さく笑った。
「ふふ」
「…くそっ」
シズクに微笑まれ、サスケは赤くなった頬を隠すように顔を背け本格的に照れ始める。こんな他愛のない日常の出来事を少しでも共有し、素のままで過ごせることが嬉しかった。するとそこへ背後から突然声が割り込んでくる。
「なーにこんな所でいちゃいちゃやってんだよー」
「セツナ!びっくりした…」
振り向くと、不機嫌な顔つきのセツナがこちらを見下ろしていた。シズクを探しに来たのだろうか。