第6章 偶然と必然
彼から"今日は帰る"と連絡が着たは工藤邸からの帰宅途中に食材を買い家に戻った。
セロリを多めに入れたポトフとポークジンジャーにポテトサラダとセロリスティックを用意した。
お風呂の準備も万端で完璧だった。
彼に会うのは三日ぶりになる。
は上機嫌に彼の帰りを待った。
二十時を過ぎた頃にインターホンが鳴り玄関まで急ぐ。
鍵が解錠されドアが開くと彼の帰宅だ。
『おかえり!』と飛び付けば抱きとめ頬に唇をあて「ただいま」と言うこの時間が二人にとっては大切なものだった。
彼が着替えをする間に夕食のセッティングをする。
二人で向い合い"両手を合わせ、いただきます"をする。
セロリが多い事に気が付きを見つめると視線に気づき小首を傾げる。
"なんとなく" 用意されたであろうセロリでも自分の好物を選んでくれたに彼は嬉しく思った。
意外にも料理が上手で、前回も驚いた彼だった。
「そう言えば…の手料理を食べるのは二回目だ」
『え、"私"は作らなかったの?』
「いつも俺が作ってたな」
『…なにそれ妬ける』
自分で自分に嫉妬する様は特別可愛く見えた彼だった。
『あ!明日からポアロのシフトに入るの!』
「明日は俺もポアロだ」
『早番?』
「遅番だ…」
『入れ替わりね、残念』
神様は時々こんな意地悪を仕掛けてくる。
たまには気を使ってよ、と心の中で悪態を付く。
食後は洗い物をすると聞かない彼をソファに追いやりが片付けた。
家事をおえ隣に座り身体を彼に預けると腕を回し頭を撫でてくれる。
この時間も二人にとっては大切なものだ。