第4章 優柔と懐柔

が部屋に戻り数時間が経過した。窓からは月明かりが差し込んでいる。

『………ん、…夜？』

ゆっくりと起き上がりベッドから出るとは出窓に腰を掛けた。
一度だけ肌を重ねた月明かりに照らされるキレイな彼を思い出す。

（まわりの空気に飲まれるとダメね。嫌な方に囚われてしまうわ。）

小さく息を吐き部屋を出る。
リビングに向うと沖矢が紅茶を取り出しす。

「飲みますか？」
『うん。あ、…ラム酒はある？』

テーブルに置かれるラム酒をティーカップに少しだけ注ぎ紅茶を淹れる。

『この飲み方好きなの』
「ホー」
『昴さんも試す？』
「ぜひ」

沖矢は紅茶をのせたトレイをローテーブルまで運び二人はソファに腰を掛ける。
ラム酒の甘い香りと温かい紅茶は身体に染み渡った。

『はぁぁ…美味しい』
「確かにこれは美味しいですね」

インターホンが鳴る。
が沖矢を見ると肩に手を置き"大丈夫"と伝え玄関へ向う。
すぐに金髪の女性とゴツい男性がリビングに顔を出した。

「はじめまして、FBI捜査官のジョディ・スターリングよ。こっちはアンドレ・キャメルよろしくね、！」
『 です。お世話になります』

握手をかわすとショップバッグを受け取り、玄関から戻る沖矢も数袋運んできた。

「衣類とか必要そうな物は揃えたわ！」
『ありがとうございます、お幾らかかりましたか？』
「経費で落ちるから大丈夫よ！」
『では…遠慮なくいただきます』
「他に必要な物があれば彼かコナン君に言付けてね！」
『ありがとうございます』

謎女の生活用品を経費で落とせるってFBIは凄い太っ腹だなとは思った。