第1章 記憶と感覚
スマホから得られた情報は"毛利探偵事務所"のみだった。
お財布の中身を見てみるとそこそこのお金とカード類に…運転免許証が入っていた。
『 …24歳?』
ピンとくるものが何も無く恐らく知らない名前で、顔写真は"この顔"で、年齢はスマホの日付表示から割り出せた。
『他にも何か情報がないかな…』
再度バッグをあさるとカードケースとキーケースにチェーンの付いた鍵が出てきた。
カードケースにはカードキー1枚。
キーケースの中には恐らくこの家の鍵であろうディンプルキーと用途不明なものが2個付いていた。
『こっちは車かな?』
頭に円状の穴があいている特徴的なゴールドの鍵にゴールドの細いチェーンに…
『ゴールドの指輪?車の鍵に?』
リングの内側を見ると"misty"と彫ってある。
『…霧??ミスティって琥珀色の強いお酒もあったなぁ…』
またしても記憶か感覚か…
『……』
不意をついて出る言葉。
『自分の言ってることに鳥肌たつわ…』
顎に親指を唇に人差し指をあて暫く考える。
シャワーを浴びて出掛ける準備をして…"毛利探偵事務所"に行ってみよう…。
『…これはまるでRPGみたい!』
この奇想天外な展開に不安な気持ちが徐々に高揚している事に…自分は図太いタチだと呆れるであった。