第2章 初めましてと懐かしさ
産屋敷が部屋を出て数十分後。
一通り会議が終わった様子の産屋敷が唄羽を部屋に迎えに来た。
「待たせたね唄羽。子どもたちが待っているよ」
産屋敷のあとを緊張した面持ちで歩く唄羽。
部屋に着くと産屋敷が先に入る。
産屋敷が部屋に入るとざわついていた柱達も急に静かになり産屋敷の言葉を待つ。
後ろで控える唄羽はつくづく凄い人なんだと感心していた。
「待たせたね、今日からしばらく薬師として滞在する唄羽だよ。……さぁ唄羽おいで」
名前を呼ばれ静かに部屋に入り、深々と頭を下げる。
「お初にお目にかかります。薬師をやっております柊唄羽と申します。これから暫くお世話になります。ご迷惑おかけすることもあるかと存じますが、何卒宜しくお願い致します」
産屋敷の隣に淡い色の着物を着た薄い茶髪の少女が座る。
あまりにも良い意味で浮世離れしている少女に一同が息を呑む。
全体的に色素が薄く感じられ、音柱の宇髄天元に至っては目を逸らせない様子である。
あまり感情を出さない時透も静かに息を呑んでいる。
そして、ほかの柱達とは違い、目を見開いているのが1人。
ー……水柱、富岡義勇である。
唄羽は下げていた頭をゆっくり上げ、柱達を見る。
「……え……?」
顔を上げた瞬間、ある1箇所を見て息を止める。
「どうしたんだい唄羽」
その様子を不思議に思ったのか、産屋敷が声をかけるが、唄羽はなんでもありません、と返事をした。
「唄羽の済む場所なんだけれど、義勇の近くの屋敷が空いていたと思うんだ、そこでもいいかい?」
「……わ、わたくしはどちらでも大丈夫です。お気遣有難うございます」