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ネモフィラを夢に見る

第12章 I and Mysterious Thief








「なぁーどう思う?」


青年は屋上から街並みを見下ろしながらそう告げる。



楓「・・・なにが?」

「あの爺さん、最近妙に静かでよぉ。」

楓「・・・鈴木 次郎吉おじさんなら、つい最近おおきな買い物をした履歴があるよ?キッド。」
キッド「・・・ゲッ、マジ?いつ?」
楓「一昨日。」



その少女の言葉にギョッとし、キッドは少女を見る。


楓「大海の奇跡って、ビッグジュエル?」
キッド「・・・あぁ、そうだな。ビッグジュエルだ。」



肩をすくめ、キッドは笑う。


キッド「・・・どこにそんな情報網あるんだか。」
楓「言わないことを知ってるくせに。」
キッド「別にいいだろー。不貞腐れるくらいさせろよな。」
楓「うん。いいよ。」


そう言って、少女も街を見下ろす。



キッド「・・・快斗。」
楓「・・・え?」
快斗「キッドじゃなくて、快斗でいい。素性知ってるわけだし。」
楓「・・・そう。じゃあ、私のこと、どう呼んだらいいか分からなくなってる快斗お兄さん。」
快斗「・・・分かってたのかよ。」
楓「貴方なら、そう感じるんじゃないかなって。」



そう告げれば、隣の青年は黙ったまま少女と同様に街を見下ろす。


楓「・・・澪。」
快斗「みお?」
楓「うん。澪って、呼んで。」
快斗「・・・澪っ!」



少女をひょい、と抱き上げ青年は笑った。



快斗「さんきゅーな、澪。」
楓「・・・。」



少女はふわりと、穏やかに笑う。





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