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Mirror【R18】

第4章 希望は頑丈な杖


……何でこんな事になっているのか。

瑞稀は困惑していた。

今彼の肩には女の頭が乗っている。

大学の男たちと適当に飲んで、合コンよろしく近くの席の女達と合流する羽目になり、面倒になって帰ろうとした矢先だった。

「瑞稀くん、飲み直そ」

出口でその女の一人に捕まり彼は今タクシーに乗っている。

「いや俺、帰るし……」
「もう一軒だけ!」

その女は美和と名乗った。

近頃は素人の女もこんな感じなのか。
さっきから腕に胸を押し付けられている。

普通の女を抱えて放り投げるのもどうなんだろう。
最近自分に女難の相でも出てるんだろうか。

瑞稀が考えてるうちに車は彼女のマンションらしき所に着いた。

割と良いマンションだ。
彼女は言動とは余りそぐわない品のいいパンツスーツを着ていた。

やるだけならまだいいが。
瑞稀は自分の『食欲』が怖かった。

一度経験しただけに、もしあの欲がまた現れたら。
万が一親父のように喰う羽目になったら。

「瑞稀くん、もしかしてまだ知らないの?」

目の前の女、美和はそんな暢気な事を言って濡れた瞳で彼を見詰めている。



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