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イカロスの翼【ヒロアカ】

第11章 お初にお目にかかります




緑谷は言葉に詰まり、淡い炎を包み込んでいる彼女の瞳を、じっと見つめた。
はその様子を見て、くるりと緑谷に背を向け、ピッと進行方向を指差した。


『臆病なもので。…早く戻ろう』
「あ、うん。…怖いものは、誰にでもあるから、慣れ、とかじゃないかな」


ゴミステーションの扉を開け、がゴミ袋をその中に放り投げた。
その場を動かず、緑谷の方へ両手を差し出す彼女。
緑谷は「ありがとう」と言いながら、ゴミ袋を彼女へ渡した。


『今日の』


重いゴミステーションの扉を閉め切って、また歩き始めた彼女が。


『夜ご飯なんだろうね』


そんな話題を振ってきたから。


「……ね、なんだろう」





そう、言葉を返して、二人で



取り止めもない話をしながら、ゆっくりと帰り道を歩いた。












































「おー緑谷、お疲れ!俺今日の当番なんだけど、二人は食べたいもんある?」


1年A組は炊事当番制を採用している。
朝ご飯は食べたい人を募った自炊グループで当番を回し、買い出し等も担当する。
昼ご飯は学食を利用する。
夜ご飯はクラス全員で当番を回し、週末に買い出しに行っておく。
本日は月曜日。
食材は山の様に買い込んである。


「わ、なんか新鮮だね!今日はかっ…ちゃんと、上鳴くん、切島くんが当番なんだ」
「そーよ!俺ら仮免からマジ仲良しだから」
「誰が仲良しだクソきめぇ」
「そう言ってやるなよ。実際、俺ら上鳴いなかったらヤバかったじゃん?」
「だろ!?あ、!」


キッチンのケトルに水を入れ、湯を沸かそうとしていたに、上鳴の声が飛んだ。


『…はい』
「白味噌派?赤味噌派?ちなみに俺は赤!」
『白味噌派』
「奇遇!」
「どこがだよ」


はじっと訝しむような視線を向けてくる爆豪から視線を逸らさずに、うん、奇遇、とテキトーな返事を返す。


『何かあった?』
「なンでもねぇよ」


明らかに何かありそうな彼の態度。
しかしは気にすることなく、マグカップにドリップコーヒーをセットした。


『コーヒー飲む?』


視線をやらずに爆豪に問いかけると。
彼は一考し、小さく視界の隅で頷いた。

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