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鬼胎を抱く

第2章 鬼と異界


ジン視点



今日は、何だか少しおかしい。
森一帯が静かだ。静か過ぎる。

「・・・!?」

何故、一般人がいるんだ。
一般人だなんてすぐに分かる。オーラが少ない、精孔が開いていないのだろう。
一般人、・・・女物を着ているから女なのだろう。
女の前には、少し前から保護するのに手こずっている猛獣がいる。

「あぶなっ・・・!!」

ここで、声を出して刺激したら、襲われるのは女の方だろう。
そう考え、急いで口を手で塞いだ。それでも聞こえてしまったのだろう。
猛獣は此方に牙を剥き唸っている。
見つかったのならしょうがない、これ以上刺激しないように、ゆっくり歩き姿を現す。
襲い掛かっては来ないが、油断はしない。
オーラを徐々に徐々に体に纏わせる。いつでも戦えるように。
オーラに気付いてしまったのか、女に向かって走り出した。

「っやめろ!!・・・ちっ!逃げろ!!」

女に呼びかけるが、逃げようとしない。
何してんだ!!逃げろよ!
そうしている内にも女に近づく猛獣。
女は、おもむろに背中から金棒?を取り出し、それを猛獣に向けた。
お前じゃ勝てない、だから逃げろ!!
そう言おうとした。
でも、出来なかった。

「貴方、私に勝てないでしょう。」

女から広がる殺気、俺じゃ勝てない。
そんな風に思う程の強い殺気に、体がふるりと震える。
幸い女は気付いていないようだ。
それからだ、此処ら一帯の猛獣が女・・・否、鄙鬼に従順に従うようになったのは・・・。
まったく、怖い女だよお前は、いや、鬼だったかな。



おまけEND






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