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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第4章 邪魔者



「ちくしょう、まただよ~!」

部屋を出ようとした智は、新聞受けに入っている
封筒に気がついて、チッと舌打ちした。

このところ3~4日おきにやってくる
例の嫌がらせの手紙だった。

2通目の手紙には、10枚の紙に『恥知らず』の
言葉が並んでいた。

3通目は『ホモに未来はない』だった。
4通目は『未成年をたぶらかした犯罪者め』だ。

そして、今日で5通目…

『さっさと別れろ、
さっさと別れろ、さっさと別れろ……』

と、うんざりするほど聞き慣れた
文句が並んでいた。

ようやく相手の意図がわかってきた。
智狙いのストーカーではなく
目的は智と翔を別れさせること。

それも、智の方に嫌がらせを
してくるってことは、
当然、翔のファンってことだろうと
推理する。

智は、手紙をじっくり最後まで見直すと

「やっぱりな……………」
と、得意顔で頷く。

2通目の時に気づいたのだが、
1枚目に2箇所ほど
印刷の一部が欠けている文字がある。

位置も間隔も常に一定だから、
たぶんプリンター内に小さなキズがあって
その部分だけトナーが乗らないのだろう。

いざって時の証拠になるかと思って
二通目からは捨てるのをやめた。

嫉妬の塊のような手紙を封筒にしまうと
不愉快な気分ごと保管してある
引き出しに放り込んだ。

「まぁ…しょうがないかぁ…
心の狭い人間は、この世界に
ごまんといることだし、
翔がいい男すぎるのがいけないんだから……。」

と笑顔さえ見せながら、部屋を後にする。

今日の智は、浮かれまくっている。
だから、この程度のことではビクともしない。

だって♡10日ぶりの翔とのデートなのだ♡


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