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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第2章 足並みの乱れ



恐れも知らずに馴れ馴れしく声を
かけてきたのは、今年の春に
赴任してきたばかりの、
22歳の新米教師、武井壮だった。

一年の体育教師だから、
三年の美術教師の智とは、
ほとんど接点もない。

四月の始めの朝礼で新任教師として
紹介された時には、
顔も名前も覚えていなかった。

『俺は、みんなの兄貴的に存在に
なりたいと思ってる。

何でも相談してよな!』

などと、昔の青春ドラマのような
スピーチをした男のことなど、
さっさと記憶から追い出してしまった。

目指せ熱血教師の武井は、
運動部の顧問をかって出たり、
スポーツ部の委員会にも自ら
オブザーバーとして参加したり、
練習試合があれば応援に
駆けつけたりと、
忙しく学校中を走り回っていたらしい。

ボサボサの短髪も、
ダサいジャージ姿も、
でかすぎる声も、
智はあまり好きではなく
あまり関らないようにしていた。

なのに、一ヶ月ほど前からだろうか、
何故かチラチラ目の端に
映るようになっていた。

そりゃあ、教師同士だから
挨拶ぐらいするが、
智から話しかけることはしなかった。

だって……ねぇ~嫌いなタイプだし…。

まぁそれでも、先輩教師だから
挨拶されるのは当然だから…。

たとえ、校長や教頭であろうと
声をかけられなければ
気がつかないほど
ボーっとしといる智が、
その男の存在に気がついたのは、

『おはようございます。』

の一言のためだけに、
わざわざ智の進路を
塞いでまで挨拶を
してくるようになってから
10日も過ぎた頃だった。

遠くから顔をしっかり確認したとき、
こりゃー無理だ…。
ハッキリ言って、
興味の対象ではない……
だって、翔みたいに
イケメンじゃない……。

やっぱり完全に嫌いなタイプだった。

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