[おそ松さん][カラ松][閲覧注意]レイクサイドロッジ
第3章 新たな犠牲者
「何か掛けてあげよう」
コウイチはそう言って、車からシートを出してボートに掛けた。
「そうか、お前らも車で来てたんだよな?!」
「ああ。だが今見たんだが、こっちもガス欠だ。満タンにしたんだけどな」
ため息と共に肩を落とすタケ。
「あ!」
カラ松は重要なことに気づいた。
「発電機があるんなら、ガソリンもあるよな?!」
管理人はハッと顔を上げて受付に走った。少しして戻ってきたその表情が、ガソリンすらもなくなっていることを告げている。
「どうすりゃいいんだよ…」
「エイトシャットアウッ!」
「……この状況でよくやれるな、お前」
その夜カラ松たちはロッジの広場で焚き火をして外にいることにした。コテージの中だと不安で仕方ないのだ。
レオが深いため息をつく。
「こうしてると、さっきカラ松がおどけた意味が分かるよ。ああでもしないとやってられないよな」
「へ?!あ、ああ」
「いやー…。カラ松はあれが通常だからなぁ」
「オーマイリル タケ!」
「ちとトイレ」
「んー」
「俺も」
アキラとタケがトイレに行った。重い空気が漂う。あんなことがなければ、最高に楽しいひとときになっていただろう。ちらとボートを見ると、静かに岸にあった。片方の先が湖に少し入っていて、ゆらゆらと揺れている。
「揺れてる?!」
バッと立ち上がったカラ松にその場にいた全員が驚いた。
「どうした?!」
「俺たち、ボートは結構岸にあげたよな?」
「ああ、中程くらいに………えっ?!」
「管理人。ここの湖って満潮とかあるの?」
「いえ、海ではありませんから…。でも、なぜボートがあんなに湖に近くなったんでしょう…?」
管理人は声を震わせた。
「も、もう一度引き揚げよう」
ボートを湖から離す。さっき移動させた時よりも距離をもたせた。
「これでよし」
「なぜこんなことに……」
頭を抱える管理人を、カラ松たちは見ているしかできなかった。人生の転機だったろう。
「人里離れた静かな場所でのんびり暮らすのが夢だったんです。でも実際はのんびりなんてしていられない。自給自足の生活は、思っているほど甘くはないんです。田舎暮らしを夢見る人もいますけど、成功する人なんて、数えるくらいしかいませんよ」
「……アキラ、遅いな。ちょっと様子見てくるよ」