第2章 プロローグ ~白銀の伝説~
600年前、フィオーレのはずれに、小さな集落があった。
その集落は、龍神『黄龍』を封印し、祀っていた。
黄龍は『金色の悪夢』と呼ばれ、全てを統べる力があった。そして、黄龍を従えた者は世の全てを思いのままにできると言われていた。
ある時、悪しき心を持つ者が、欲に目がくらみ黄龍の封印を解き放った。
世界は一瞬にして闇の世界と化し、川は清らかな流れを失い、草木は枯れた。
世界の皇帝として君臨した悪しき者は、民を苦しめ続けた。
民が絶望し、生きる希望を失った時、ある銀髪銀瞳の祈祷師が皇帝に取り入り、皇帝の隙をついて黄龍を封印した。
悪しき者は黄龍の力を失って捕らえられ、世は再び平安な時を刻み始めた。
祈祷師は『白銀の使者』と称えられ、皇帝となるように言われたが、祈祷師は理由も明かさず自らの命を絶った。
人々は驚き悲しんだが、祈祷師のことは後世にまで伝えると決意した。
こうして『白銀の使者』の伝説は現在まで語り継がれている。