• テキストサイズ

夢過ぎる水溜りボンド

第3章 episode3


確かに兄の家はそう広くはないけれど
新しい暮らし快適だった。でも、少し寂しかった。

兄は本当に忙しそうで、毎日夜遅くクタクタになって帰って来た。
一緒に暮らしてからゆっくり話もできていない。

今日は雨が酷く兄はバイトが休みになったからと、家にいる。
こんな日滅多にないから、ちょっと嬉しい。

「そういえば…あの時のメモ、完成した?」

見せるのが恥ずかしいからこのまま忘れてくれたら…と思って
あえて自分から言い出さなかったのに、兄はしっかり覚えてた。
観念してスマホを渡した。
思いのほか長いメモになってしまっていたこともあり
兄が読み終わるまでの時間、とても長く感じた。

「念のために聞くけど…これって全部マコトが書いたんだよね?」

『そだよ?そもそも誰かに見せるつもりじゃなかったから
好き勝手なこと書いちゃった…』

「…ごいよ!すごいよ!これ!すっごい!」

兄曰く、客観的な分析と的確な指摘、アドバイスが記されていると。
私としては、思ったことを書いただけなんだけど…

言葉の選び方がそう思わせたのか
自分では感想メモのつもりが
兄には分析メモのように見えたようだった。

「コレ、送ってよ!皆に見せてあげたい!絶対皆のためになるから!」

『嫌。』

「えーーーー!」

兄ならまだしも
他人に見せるなんて絶対に無理。
その後もしつこく頼まれたが、断り続けた。

「怒った?」

『怒ってない。』

「じゃぁ…!」

『嫌。』

「えーーーー!」



『でも…また誘ってね!お兄ちゃん!』
/ 33ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp