第1章 肝試し
ふふーん。待たせたな、カラ松ガール!ついに俺の季節がやって来たぜ!そう、夏!まぶしい太陽、焼けつく日差し!その全てが俺にパワーをくれるのだ!
スパーン!!
「アウチ!何をするんだ、チョロまぁーつ!!」
「いつまでかっこつけてんだよ。計画立てるぞ」
「あ、はい」
見れば六つ子全員円陣を組んでいる。
「さっさと計画立てないと、夏なんてすぐ終わるんだからな!」
おそ松の言葉にブラザーたちがうなずく。
円陣の中心には地図があった。
「ねえ、本気で行くの?」
「だーからそう言ってるでしょ、トド松ちゃーん」
「怖いよ、これ!絶対出るって書いてあるじゃん!ヤバイって書いてあるじゃん!何でそういうとこ行く訳?!」
「大丈夫、大丈夫!」
俺たちが行こうとしているのは、廃墟だ。広げている地図は、日本心霊スポットここ絶対ヤバイって!出るって!版の、その場所が書いてある地図だ。
「でもここ、近いよね。最寄りのバス停まで走って行ける」
「あはー!帰る道も、分かりやすい!」
「なるほど。置いて行かれても何とかなるということか」
「そ!分かってるねー、カラまっちゃーん。だからここが一番安全なのよ」
「どこが安全なの?!見てよ、これ!危険度9だよ?!絶対ヤバいじゃん!」
「こんな本の情報なんて、たかが知れてるって!本に載せるってことはだよ?そこに行く人がいるってことも想定できるよな?ってことはさ、行っても大丈夫ってことじゃん!」
「違うって!ほら、見てよ!自己責任ってあるでしょ?!何があっても責任を負いませんって!」
「んもー。ならトド松だけ留守番してなよ。父さんも母さんも旅行でいないんだから、一人きりだけど」
「わーーー!!それもやだーーー!!」
「いちまっちゃんは行くよねー?」
「え?!………ん、ま、まあ……みんなが行くんなら…」
「行く人、手ぇ挙げて!」
俺と十四松、おそ松、チョロ松が手を挙げるのを見て一松も、おずおずと手を挙げた。
「はい決定。諦めろ、トド松」
「んもー、知らないからね!」
「まずは場所を詳しく調べないとな」
「おおまかにしか書いてないしね」
「あれ、ここってあそこだよね」
一松が注目したのは、目印となるトンネルだった。
「あー。この分かれ道のとこのな」
「よし、明日はバスに乗るぞ!」
「了解!」