• テキストサイズ

【YP】明日もきみは風になる。

第1章 春は出会いの季節です。




教室から場所を移し、春風が心地よく通り抜けるところに腰を落ち着け、皆でお弁当を広げる。購買で買ってきたらしい大量のパン(本当に大量で思わず二度見した)のうちのひとつをかじりながら、鳴子くんが口を開いた。


「さっきの話やけど。」


「?」


「友情、汗、涙、努力。ええなあ。めっちゃええやん、スポ根やん!ガチガチの運動部脳やん!」


「もうその話はいいよ鳴子くん!恥ずかしい!!」


「アニ研入ろうとするやつが部活における理想として挙げるワードとちゃうやろ、これ。」


「はは………それはそう思うけど。」


会話の途中で私もお弁当を口に運ぶけど、恥ずかしさからかあまり味がしない。


「…………決めたのか?」


今泉くんが静かに問う。
何を?と聞くほど、野暮ではない。


「……………うん。自分は部活に何を求めてるのかってところからね、考え直してみたらそこから少しずつ気持ちが固まって……」


「じゃあ、さんも自転車競技部に…!」


全国優勝を目指すようなチームに、こんな何も知らないズブの素人が入って良いものか、そこはまだ気になるけど。


でも巻島先輩がくれた言葉が自信になっていた。


「そんなに一生懸命になってくれるやつが仲間になれば、皆心強いだろうな。」


一歩踏み出してみたいと思えた。
熱くなる瞬間を、また感じたい。
そう強く思った。
何より、自転車が縁で出会えた皆を側で応援したいと思った。



「あの、なんにも知らないド素人ですけど………どうぞよろしくお願いします。」

/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp