第1章 プロローグ
『私に愛を教えてくれてありがとう・・・でももうさよならだね』
悲しそうな笑顔がスクリーンいっぱいに映し出される。
その顔は見慣れているはずの顔なのに
そんな彼女の表情は・・・みたことがない。
彼女は「表現者」。
華奢な体で本人とは違う、何者かになりきり、
喜び、怒り、哀しみ、楽しさ・・・すべてを体全体で表現する。
目の前に写る幼馴染は、幼馴染であって、そうではない・・・。
だから、そんな悲しいセリフは彼女自身が言った言葉ではないはずなのに・・・
なのに、どうして・・・・
もう彼女とは会えない・・・そう思ってしまうのだろうか・・・。