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★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第10章 幸達磨-yukidaruma-


「……まあ、そういうことになるな」



一瞬、変な間があったことにハラハラしたけれど、全うな答えが返ってきたことにほっとする。



大名
「私共は構いません。おふたりが宜しければ、橋が直るまで、どうぞこちらでお過ごしください」



大名の援護射撃に心の中で拍手を送りながら、それを聞いた光秀さんも、あまりにも急な出来事で他に行く当てもないと、親切な申し出に甘えさせてもらうことになった。



「悪いな。……今しばらく世話になる」



こうして私たちは、予想外の出来事に見舞われ、軟禁状態となった。













__________

「──帰れなく、なっちゃいましたね……」



美しく雪化粧をした庭を光秀さんと眺めながら、私は沸々と湧き上がってくる”それ”と、ひとり密かに奮闘していた。



けれど、すぐに居たたまれなくなって…

光秀さんに背を向け、縁側へ出ると、冷たい板の間に膝をつき、軒下まで積もった雪に手を伸ばした。

水分を多く含んだ雪は、すぐに握った手の形になって、両手に掬って集めていくときれいに丸くなる。

昨日、出発前に厩の前で見つけた雪で、小さな雪だるまを作ったことを思い出しながら、こぶし大の雪玉を二つ作って重ね、雪の重みで折れてしまったらしい軒下に落ちたナナカマドの枝を拾う。

その真っ赤な実を目、細い枝を口に、太い枝を手にして…



(──もしも……この予想外の出来事が、あの雪だるまがくれた仕合せだとしたら……)



もう少しだけ、この幸運が続くよう、願いを込めて──






そうして、ようやく誤魔化す口実ができた私は、今度は躊躇なく光秀さんを振り向いた。



「──光秀さん、見てください。雪だるま!」

「……ゆきだるま?」

「子どもの頃、雪が積もるとよく作って遊んでたんです。……あとは、これだけたくさん雪が積もったら、かまくらなんかも作ったりして、中でみかんを食べたりとか……雪合戦したり……そり滑りとか!」



やたら快活に話す私を、光秀さんは笑顔で見守りながら、ゆっくりと歩み寄ると、隣に膝をついた。



「真っ赤じゃないか」



穏やかな声が呟いて、大きな手が私の手を包み込む。

いつもひんやりしている光秀さんの手があったかく感じるほど冷たくなった指先を労るように はぁ と息が吹きかけられる。




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