第3章 ブバルディア
『本当に?』
東堂『もちろんだ。力になるかどうかわからないけど。笑』
『話聞いてもらえるだけでも全然違うよ。笑』
東堂『よし!今日の夜はどうだ!』
『今日の夜空いてるよー』
東堂『練習があったのだが、今日はチーム全員の自転車をメンテナンスする日に変わってしまって、たまたま空いたんだ!』
『あ、そうなんだ! 私もお店の店番あったんだけど、親にスタッフの子が入れることになったから、今日は大丈夫だよって言われた。笑』
東堂『あれ?ってことは今実家なのか?』
『そうだよ。』
東堂『俺も今箱根にいるんだ。笑』
『え。笑』
東堂『俺らは相変わらずタイミングがいいな。笑』
東堂君は練習がたまたまなくなって、
私は実家の和菓子屋さんの店番がなくなって、
しかもお互い実家に帰ってきていて。
それがたまたまお互い今日で。
ものすごいタイミングだな、って。
すごいな、って、心の中で思っていた。
そんなわけで、私は今から、東堂君に会いに行く。
もちろん彼はこのことを知らないし、
隼人からも連絡きたけど『女友達と会う』とかしょうもない嘘をついてしまった。
別になんとも思っていないはずなのに、
少し緊張の中、私は箱根へ向かった。