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【NARUTO】千手扉間

第5章 真贋【*】


今日は千手・うずまき両一族にとって特別な日だ。
千手柱間とうずまきミトとの婚礼の儀が執り行われる。

白無垢に身を包み、化粧をしているミトさんの姿を少し離れた場所から見つめる。
自分が結婚する訳でもないのにその姿を見ているととても嬉しい気持ちになる。
そんな自分の姿に気付いたのか微笑みながら手招きされ、近くへと寄れば幸せそうに笑うミトさんの顔があった。

「ようやく、あの方の力になり共に生きて行けるのかと思うと、嬉しくて顔が緩んでしまうわ」

こんなにも一途に誰かを想う事の出来る素晴らしさ。
戦いの続くこんな世の中だからこそ、その「想い」の大切さや尊さが身に染みる。
そう言いながら笑うミトさんは本当に綺麗で心から幸せそうだった。

***

厳粛な雰囲気の中、法度に則った伝統的な婚礼の儀式が進められていた。
それはとても荘厳な儀式で身が引き締まる思いだった。

ミトさんの計らいにより身分を伏せ、客人として婚礼の儀式に出席する事になった時は驚いたが、今は出席して良かったと心からそう思う。
元々ミトさんもそのつもりだったのか、わざわざ自分の為に着物まで用意してくれていたらしく、一緒に着付けとお化粧までしてくれた。

こんな風に誰かの婚礼の儀式に出席したのは初めてだし、ましてや片方は千手一族だ。
今でも本当に信じられない。
生きていれば何が起こるか分からないとはよく言うけれど、まさか自分の身にこの様な事が起こるとは夢にも思っていなかった。

式も進み、今は先程までの荘厳な雰囲気とは違い随分と和気あいあいなものに変わっていた。
二人の幸せそうな姿を見ていると、この日だけは柱間に対しても素直に祝福してあげようという気分にもなる。

(まさか、こんな日が来るなんてね…)

代る代る色々な人達が二人に挨拶をしている様子を遠くから見つめる。

ここに居る殆ど全ての人間は自分がうちは一族の者である事を知らない。
というよりも、まずそんな事を考える人間はこの場所にはいないだろう。
そんな事をぼんやりと考えていたらうずまき一族の人なのか、ミトさんと同じ赤い髪をした青年が話し掛けて来た。
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