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金森さやかに甘い期待を裏切られる夢小説

第1章 1章


ひと月ほど前から、私は雑用係として一時的に映像研を補助している。そう、ちょうど金森さんに告白して振られた直後から。何が悲しくて振られた相手と毎日顔を合わせなきゃいけないんだか。成り行きを憎む。
そして皮肉なことに、毎日顔を合わせていることで以前より金森さんとの距離が縮まっている。。嬉しいようで、困るような・・・複雑な気持ち。

パソコンの操作に手間取っていたら、忙しそうに資料を見ていた金森さんが手を止め、こちらに歩み寄ってきた。
「氏、何をさっきからもたついてんすか」
「あ、ここに炎のエフェクトかけたいんだけど・・」
すると彼女はそのまま目線を低くして、くっつきそうなほど私のすぐ背後で画面をのぞいてくる。
ち、近いなあ。
「ああ、ではこちらをクリックしてください」
マウスの上の私の手に金森さんの手が重ねられる。
ええ~!ちょ、ちょっと・・・こんな不意打ち無理!
金森さんが耳元で何やら説明している声が聞こえるけど、内容が全く頭に入ってこない。頭は真っ白。重ねられた手と背後から抱きかかえらそうな姿勢で金森さんの気配だけを感じてる。
でもそれはほんの一瞬だった。こちらの動揺には全く気付かないまま、淡々と指示をするだけしてあっさり仕事に戻る。
ふう、たまにこんなことが起こるから心臓に悪い。あーあ、私ってば振られたくせに未練たらたらだな。

あれから数日。今は映像研の資料をファイリング中。作業に夢中になって、気がついたら日が暮れてすっかり気温が落ちていた。ふいにくしゃみが出る。
肌寒いな。でもここは広くて暖房が行き届かないし、上着は持ってないや。軽く腕をさすってから鼻を噛む。そのとき、机に向かっていたはずの金森さんがすぐそばに立っているのに気付いた。
「あれ、金森さん。どうかした?」
「上着、ないんですか?」
「うん、そうなの。朝暖かくてちょっと油断しちゃった」
へへ、と笑うと呆れたように嘆息された。
「全く、氏は世話が焼けますね。」
次の瞬間、ぼさっと無造作に私の肩に何かがかけられた。
「え、何?」
肩に目をやると、見覚えのある色のジャンパーのようなものがかぶさっている。これは、金森さんのジャージだ。彼女を見上げて目で問いかける。動揺する私を尻目に金森さんは当たり前だけど平常運転。
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