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【刀剣乱舞 R18】クロユリを食む

第5章 歓迎は心して受けよ


「まったく、あわたぐちはしつけがなっていませんね」

薬研様よりも見た目の幼い男士様が私の前で頬杖をつく。

今剣様と名乗った彼は、

「きょうは岩融がえんせいにいっているのでたいくつなんです」

と、私の前に腰かけた。

「うん。そうだね」

隣で緩やかに頷くのは髭切様。

大広間へ顔を出した際、「食べてる所を見ててもいい?」と声を掛けられた。

彼も「弟が見当たらないんだよねー」
なんて言っていたので、どうやら退屈をしているらしい。


それにしても…
じーっと見られながら食べるというのはなかなか恥ずかしいものがある。


「美味しそうに食べるね」

髭切様が私の頬をつついた。


美味しそうに…
ではなく、実際に美味しい。

出汁がたっぷりのほんのり甘い卵焼きや、ホカホカの味噌汁、焼き魚にお浸し。

パンとココアが朝食の定番だった私にはこの上ないご馳走だ。

それに…昨日は夕飯を食べられなかったので、お腹もペコペコだった。

「よくたべるのはよいことです」

「そうだね」

うん。うん。と頷く二人。

「彩さまにはじゅうだいなおやくめがあるので、たくさんたべてじょうぶにならないといけませんね」

「そうだね」


また、うん。うん。と頷く二人。

穏やかなやり取りの中、


「彩様、はげんでくださいね」


可愛い笑顔を向けられるけれど、


『励む』の内容はちっとも穏やかではなくて、実に艶かしいものである事を私は知っている。


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