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ナルシサス。【煉獄杏寿郎】

第14章 拾肆ノ型. 遊郭潜入



突然の事に固まる煉獄に二度目の口吸いをしようとする刹那の肩をがっしりと掴み、寸での所で制止する。


生憎刹那はまだこの場の雰囲気を理解していない。



「刹那!!今は駄目だ!!頼む!後で幾らでもしてやるから!!」




必死に止めると捨てられた子猫のような瞳を向ける刹那。
正直このまま流されたい。
刹那の唇を堪能してうんと甘やかしてやりたい。


(しかし!)



潤むその瞳に危うく煉獄は絆されそうになるが、最後の理性を糧にどうにか踏みとどまった。



(今は本当にまずい!!)



冷や汗をかきながら極力刹那の顔を見ないように、現状の説明をする。


さっきから視線が痛いのだ。

主に善逸からの。




「宇髄と竈門少年達が来ている。ここに!今!!この場に!!!」



煉獄の叫びに、振り向いた刹那は
ここに来てやっと4人の存在を認知した。



気まずそうに頬を染める炭治郎。


恨めしそうに自分と煉獄を見る善逸。


つまらなそうに柔軟する伊之助。


にやにやと笑う宇髄。



「おうおう、お熱いこって。見せつけてくれんじゃねえか刹那。」



からかい口調の宇髄に、今自分がした行動が全て見られていた事を知る刹那。
今更ながら湧いてくる羞恥にわなわなと口を震わせ、凄まじい勢いで布団を頭から被ってしまった。



『わ、私はまだ起きていないわ...』



小さく聞こえた呟きに、その場にいた全員が声を上げて笑う。

後輩隊士から尊敬の念を込め密かに《宵の君》と呼ばれる刹那も、これでは型なしだ。
煉獄もまた笑いながら、大福のようになってしまった刹那を布団の上から撫でる。



「急に押しかけた俺達も悪かった。機嫌なおせよ刹那。お前に用があってきたんだ。」


笑いすぎて零れた涙を拭いながら宇髄が言う。
自分に用があるならと、渋々布団から顔を出した刹那の表情はなんとも言えないものだ。

煉獄の横に改めて腰を下ろし、



『それで、私に何の用があって来たの?』



そう凛と言う刹那は、既に先程の失態を無かった事にしようとしている。

その姿にまた込み上げそうになる笑いを抑えつつ、宇髄はやっと本題へ話を移した。
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