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ナルシサス。【煉獄杏寿郎】

第2章 弐ノ型. 煉獄家







2人が煉獄の家へ着いたのは丁度夕暮れ時だった。


先程まで敵か味方かも分からぬような関係だったのに、こうして肩を並べて歩いているのはどうも不思議な感覚がする。



目前に見えた煉獄邸を前に煉獄の足取りが少し早くなる。



一目散に向かった先には煉獄と同じ顔をした少し頼りなさげな少年。



「ただいま!千寿郎!!帰ったぞ!」




流れるように頭を撫でる煉獄に、恥ずかしそうにしながらも「おかえりなさい兄上」と返す様子に刹那の口元が緩む。


ひとしきり撫でられてから刹那に気づいたのか、慌て出す千寿郎が刹那はおかしくてたまらない。




(可愛らしい、表情がコロコロと変わられること...)




心の中でそう思いながらとことこと近づいてくる千寿郎を見やる。



「お、お恥ずかしい所をお見せしました...お客様でよね?どうぞあがってください!」




『ふふふ、どうか気になさらないで、今日から暫く一緒に住むことになりました。暁天 刹那です。好きに呼んでくださいまし。』




「え?!」



ポロリと出た同居という事実に千寿郎がわなわなと震えている。



「あ、兄上!一緒に住まれるとはどう言うっ、え!兄上のこ、恋人様でしょうか!」



「違う!鬼だ!しかし!!隊士になった!今日から一緒に住む!!お館様の意見だ!!」




間髪入れずに答える自分の兄だが、急な情報量に千寿郎は眩暈を覚えた。


どうにか体を動かしましたと言わんばかりに、よろよろと家の中へ入ってしまう。




「うむ!良かったな暁天少女!千寿郎は分かってくれたようだ!!」



『煉獄様、あれは分かったと言うよりも考える事をお辞めになったのかと。』



「そうか!成程!まあとりあえずあがりなさい!!今日から君の家だ!父上にも報告せねば!!」



刹那のツッコミを理解したのか理解していないのか疑問だが、煉獄と刹那も千寿郎に続いて家の中へと入った。




(何故だろうか、煉獄様は【父上】と言う時だけ、少し...ほんの少しだけ寂しそうだ)





そう一瞬頭に浮かんだ考えを直ぐに消し、刹那は歩みを進める。




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