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【呪術廻戦】廻る日の青

第16章 因中有果




どうやらバレていたらしい。
五条がドーナツ売り場をうろついている間に、こっそり雑誌コーナーで旅パンフを捲っていたつもりだったのだけれど。


『……そりゃ少しは行きたい気持ちもあるけど、現実的に無理だろ』

「うん、わかった。なんとかする」

『だから何をだよ』

「僕はね、なまえのしたい事ならなんだって叶えてあげられるの。知ってるでしょ?泣く子も黙る五条悟だよ」

『急に弱そうだな』


いつも通りの五条のめちゃくちゃな発言に、はは、と軽く笑った。

なまえのしたい事はなんでも叶えてあげられる―――それは五条と長年連れ添ってきたなまえが一番わかっていた。だからこそなまえは、やりたい事や欲しいものをあまり五条には言わないようにしている。というより、別にやりたいことや欲しいものなどこれと言ってないのだけれど、ほんの少しでもそのようなことを言えば全力で何倍にもして叶えようとする五条だから、あまり言いたくないのである。彼は彼で、態度にはあまり出さないけれど(たまにものすごい勢いで甘いものを食べている時は相当疲れている)、かなり多忙なのは事実だ。彼のことを大切に思う同僚として、妻として、そんな彼の負担にはなりたくない。けれどそれが五条にはあまり面白くないようで、何かにつけてこうしてやりたいことや欲しいものを聞いてくる(というか探ってくる)。彼なりの優しさだということはわかっているのだけれど、肉まんが食べたいと言えば一部屋埋まるほどの冷凍の肉まん(大阪から取り寄せたらしい)のダンボールが届いた時にはもう肉まんはしばらく見たくなかったし、雑誌でクリスマスコフレのページをなんとなく見ていれば翌日デパート中のありとあらゆる数多の高級ブランドのクリスマスコフレが全シリーズ家に届いた。そんなことは序の口で、まだまだ数え切れないほどこんなようなことが多々ある。彼は加減というか、適度を知らないのである。やりたいことや欲しいものを全部叶えてあげたい気持ちはもう十分に受け取っているから、それだけでなまえにとっては十分幸せなのだ。

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