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鬼滅の刃◆短編【R18】

第4章 送られオオカミ【R18】《義勇》




「桜田…お前が、好きだ…」





富岡の口から紡がれた言葉をみさは理解出来なかった。

「…富岡さん、ほんと、悪酔いし過ぎです」

「…確かに、俺は酔ってる」

富岡の指が慈しむように優しくみさの頬に触る。

「けど、好きでも無い女にこんな事はしない…」

そんな事はずっと富岡を見ていたみさには分かっている。
けれども信じられなくて、理解できないのだ。

伏せていた長い睫毛を触れるか触れないかでなぞられて、全身がゾクリと震えた。


…富岡さんが、私を好き?


触れられた両頬は全身の熱が集まった様に赤く染まった。

「嘘、です。そんなの…」

絶対、嘘です。信じられなくてみさは否定する。
けれども、どこまでも富岡の指先は優しくて
一束顔に掛かった髪を耳に掛けられれば、くすぐったさなのか何なのか分からない感覚に頭がじんわりと痺れた。

指で唇をなぞられて
富岡を見やれば、優しく見つめる藍色の瞳と目が合って。

「…酔っ払いに言われても納得出来ませんよ」

はは…と富岡は笑った。
富岡さんもこんな笑い方するんだなとみさは思った。

「男の家に上がり込む桜田が悪い」

…それは、不可抗力じゃないですか?と抗議しようとしたら唇が触れるだけの短い口付けで塞がれて。

「…俺は悪酔いしてるし、覚えてないかも知れないが
桜田を好きって事だけは本当だから…そこだけは覚えてて?」

覚えてないって、それ、最悪です。と言えば
また富岡は笑った。

みさの細い指に富岡が指を絡める。
酔っているからなのか何なのか慈しむように自分を見つめる藍色の瞳に
信じられないこの展開に
みさはくすぐったさを覚えた。

富岡の額がみさの額に付けられて
お互いの睫毛が微かに触れてそれだけで痺れが身体中に巡るのを感じた。

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