【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第5章 "Plus Ultra"
「試験終了!」
そして試験の終わりを告げるプレゼント・マイクの大声が響いた。
出久ちゃんはショックからか顔色が土気色のようになっていて…ってコレはヤバい!早く何処かの医療機関に連れていかないと…
「その必要はないねぇ」
そんな事を考えていた矢先、メーターもキッチリと示されている注射のような形状の杖を突いたお婆さんがゆっくりとこちらに近寄ってきた。
そのお婆さんは袋に入ったお菓子を持ち出しては、周りにいる皆に一つずつ配りに回っている。当然俺も一つ貰い、パクりと口に含んでみるとホンワリと甘い味が口一杯に広がる。
そしてお菓子を全員に配り終わった時、のしのしと再びお婆さんはこちらへ歩み寄ってくる。何故か口元を矢鱈と突き出しながら。
「怪我をした子はこの二人だけかい?」
「ハイ、この二人はあの0Pの敵と交戦していたので…」
「…俺はあんまし役に立たなかったッスけど」
ほんのり眉尻を下げながら恥ずかしげに頬を引っ掻く。それから出久ちゃんと俺を流し見したお婆さんは、先に俺の顎を取っ掴んで…
ここからはイマイチ記憶が残っていない。タダ俺が目覚めた時に真面目ちゃんと女の子が顔を真っ赤に染めて目を手のひらで塞いでいたのは覚えている。
その後もつつがなく筆記試験を終えることができ、爽快気分で俺は雄英高校を後にした。
一週間後雄英高校からの連絡が届き、そこには一見何の変哲もないように思える封筒が入っていた。しかし侮ってはいけない、これには書類と小型投影機が入っており、投影機を起動させるとNo.1ヒーローのオールマイトが映り合格か不合格かを知らせてくれるという浪漫溢れた代物なのである。早速俺は小型投影機をワクワクとした心の内で起動させてみる。
『やぁ、山都田颯くん!試験で全力を出し切ることは出来たかな?』
「もっちもちッスよ、俺頑張ったッスもんね!」
投影機なので返事をしても意味がないとは知りつつもついつい答えてしまう。やっぱりほら、目の前に言わばヒーロー中のヒーローが居ると思うとついついテンション上がっちゃうッスよね?
『それでは本題に移らせて頂こう、率直に言えば…』