【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第1章 憂き目を見て、一回休み
「ごめんなさいね、私達には私達の目的があるの。」
紫のドレスが優雅にひらめき、艶やかな髪が風に靡く。
この殺伐とした空間に似合わない程、大好きだったあの人は柔和で優しげな笑顔を称えたままだった。長年家族と共に築いてきたお父さんの店は未だに目前で燃え続けている。
「あらら、見事に燃えてるわね。後処理と証拠隠滅はしっかりしてくれるのかしら?」
毎日、俺が家の前を通り掛かる度に優しく挨拶してくれた近所のお姉さんが、いつもと同じ暢気な声で眉尻を下げ、困り顔をしながらこんな事を口走っている。
子供ひとりが消火活動に向かった所でどうにもならないのは陽の目を見るより明らか。ただ膝を震わせ立ち竦んでいる事しか俺にはできなかった。
そこからどうなったかは覚えていない。泣いて叫んで怒って喚いて、気が付いた時には火をつけたらしき人達も、お姉さんもこの場から消え失せていた。
これが俺と、ヴィラン連合の最低で最悪なファーストコンタクトである。