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Shadow Moon

第3章 回復


俺は、ぼうっと薫の顔を見ていた。
「なんだよ?あたしの顔に何かついてるのか?」
薫の頬がちょっと赤らんだ。
「…目と鼻と口かな?」
「てめぇ~ぶっ飛ばす!」
薫の鉄拳が飛んで来る。
「うわぁ!ごめん!」
思わず目をつぶった俺の頭にコツンと拳が当たった。
「治ったら十倍だからな!」
目を開けると薫はニッと歯を見せる。

そうだ、思い出した。
薫の言葉遣いが悪くなったのは俺のせいだ。
泣き虫でいじめられてた俺を守るためにどんどん言葉遣いが悪くなっていったんだ。

薫に守られる事を恥じた俺は、中学生になってすぐに厳しい練習で有名だった野球部へ入り、自分の弱さを叩き直した。
泣き虫も直り、いじめられる事もなくなった俺は強くなったと勘違いし、逆に喧嘩っ早くなり野球部を退部させられ落ちこぼれとなった。
と同時に虚勢を張り、自分の気持ちを押さえ込んでいた。
薫を守るどころか、薫と距離を置き心配ばかり掛けていた。
そんな俺を変えたのが和田だ。
常に真っ正面からぶつかってくる和田に影響を受けて、少しずつだが自分の気持ちを素直に表せる様になった。

和田と薫には感謝しきれないな。
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