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君だけ欲しい【気象系BL小説】

第2章 君色に染まらせて




>>>智side


翔くんちで晩ご飯を作るようになってから1ヶ月ほど経った。翔くんが熱を出してそれを俺が看病したのがきっかけだったけど、ご飯を作ったり部屋を片してあげると子供みたいに目をキラキラさせて「ありがとう!!」って言ってくれるのが嬉しくて、翔くんが迷惑じゃなかったら晩飯一緒に食べれたらなって思ったんだ。

俺が作る料理はカレーとか親子丼とか生姜焼きとか、どれもあんまり凝ってる料理じゃないけど、翔くんは毎回「美味しいよ」って食べてくれて食レポみたいな感想もくれる(笑)
ふふ、作った料理を食べてもらうってこんなに幸せな事だったんだ。


2020年のギリギリまで仕事をした俺は、それから活動休止期間に入った。休止後は何をするか具体的に考えてはなかったけど、実際に仕事をお休みしてみるとそこにあるのは自由よりも喪失感の方が大きくて。突然自由になった飼い鳥が何処へ飛んだらいいか分からなくなっちゃった、みたいな。

芸能界って…アイドルってやっぱりキラキラした所だったんだなぁ。でも、趣味の時間が欲しかったのは本当だから俺は暫く絵に集中する事にした。メンバーと離れる事は寂しいけど、好きな事は沢山出来る。自由って孤独と背中合わせなんだよって何処かで聞いたフレーズをふと思い出したりした。




だけど翔くんと晩ご飯を一緒に食べるようになってからそう言う寂しさは何処かに消えていって。晩ご飯までに何をしよう。翔くんは何を作ったら喜ぶかな?って考えるのが楽しくて、好きな事して楽しく生きてるって実感があって。翔くんは時々「迷惑じゃない?」って心配そうに聞いてくるけど、全然。寧ろ、感謝してるくらいなんだ。


大野が手に持つパレットには赤やピンクの櫻井の色で染まっていた。

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