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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第1章 *伝えたかった想いと叶わぬ願い 時透無一郎


手紙にはこう記されてあった。






無一郎へ
今までごめんなさい

貴方に言われてやっと大切な事に気がつきました

私は今まで貴方を有一郎と重ねて
現実を見て見ぬふりをしていました。

貴方が私を好いてくれてるのに
気づかない振りをして
貴方を利用するような真似…
卑怯な私をどうかお許しください

そして私はやはり有一郎がいない世界で生きていくのに耐えられません

ずっと振り回して最期まで身勝手な女でごめんなさい

今までありがとう




「…っ」

手紙を持つ手が震える。
わかっていたはずだ僕に向けられる好きは家族として好きだってことを
わかっていたはずだ兄さんは僕の為を思って身を引いたのも

強く握った手紙はしわくちゃになり文字は流れた涙で滲む。

目が霞んで手紙が読めないよ


「…も兄さんも…そして僕も本当に馬鹿…」

勘違いして独り善がりした僕も
兄さんを追ったも
相思相愛だったのに身を引いた兄さんも


一人残された僕はこれから何に縋っていけば良いのだろうか

僕は兄さんの代わりで良かったのに…
代理だとわかっていながら
救いのない夢現の狭間で確かに感じた幸せ
それさえも無かった事にするなんて。



「愛してる…兄さんよりも僕の方がずっと」


一人呟かれた言葉はもう君には届かない

それでも言葉にしたのは
この想いが嘘偽がないと証明したかったから
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