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【第五人格】ある日の荘園【I dentity V】

第3章 探鉱者の性(サガ)【ノートン・キャンベル】



「…え、ええと、キャンベル様…なにか御用でしょうか…?」
「いいや、特に何もないよ」
「そ、そうですか…」
「…」
「……」

昼下がりのダイニングで、沈黙に耐えきれなくなったクライシスは恐る恐る尋ねた。…ひたすらこちらを見つめる主に。…が、何もないと言われてしまっては話も振ることができない、どうしたものか…と1人手を動かしながら考えていると。

「…綺麗な髪だね。」
「え、あ、ありがとう…ございます…!」
「……居座ってごめんね?」
「い、いえ!私としては全く問題ありませんので!その、キャンベル様がお暇ではないかな、と…」
「…全く。寧ろ、楽しい。」
「そ、そうでしたら…良かったです…?」

全体ではなくても、容姿の一部を男性に褒められることのなかったクライシスは顔を少し赤らめ俯いた。…彼女は気づいていないだろうが、その様子を見た彼の表情は…言わないことにする。しかし、話はすぐに終わってしまい、手元へと集中する。

「……」
「……」
「…クライシスさん。」
「は、はい!」
「もし、貴方が鉱夫で地上から近いところに1つしかないとても綺麗な宝石を見つけたらどうする?」

頭が疑問符でいっぱいになりそうなのを必死に抑え、なんとかその様子を想像する。綺麗なたったひとつしかない宝石…そんなものがあったらとても素敵なんだろうと、思いを馳せる。…が、じっとこちらを見つめるノートン・キャンベルに気付き、慌てて回答した。

「え、ええと…皆さんが見れるように採掘して…展示します…?」
「…優しい人だね、クライシスさんは。」
「ありがとうございます…なにかの、心理テストですか?」
「いいえ。ただ…僕なら…採掘して僕だけのものにしなければ気が済まなくて。」
「独り占め、っていうのも素敵ですね!いいと思います!」
「!…ありがとうございます。」
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